当日、
私と由美さんは剣山手前にある
ペンション『ラ・フォーレつるぎ山』に宿泊しました。
到着した時点で、周辺にガスがかかり始め、
御山が私たち二人を
壮大で幻想的な世界へと導いてくれるような
そんな不思議な力を感じました。

これは、思い込み?
このまま不思議な力を信じ込み、雨の中を歩いていく人が
遭難するんだろうか?
自分達だけは、違う、導かれている。
龍神にガイドされている、
守護神に守られている、
みんなそう思って御山に入り迷子になるんだろうか?

そんなことも思いながら
4時前に宿へ入りチェックイン。
荷物を開き、
お茶を飲んだり
ひたすらストレッチを続けました。

2〜3時間くらい続けた後、食堂へ降りて夕ご飯。

昨年と同じメニューだけどどこかが違う。
周りと見ると、
昨年とは全くインテリアが違う。
登山用品で飾られ、本格的な薪ストーブが鎮座している。

オーナーが変わった様子だ。

そんなことを感じながら
美味しい夕食を平らげ、
明日の天気についてやっと真剣に考えることになりました。

オーナーに相談して
半透明のゴミ袋を数枚とガムテープ数切れをもらい
夜は
手づくりカッパを工作することになりました。

なかなかの出来映え。
これで明日は、びしょ濡れにはならないはず。

そんなことを妄想しながら
今回の登山の目的や意味をそれぞれ紙に書き出しました。
二人の共通する目的は『癒し』


ただそこに存在するだけで起きる『癒し』について。
このノウハウについて語り合いました。


お風呂も済ませ、夜のストレッチ&瞑想タイム。
この日だけでも
2〜3時間は身体を伸ばした気がする。

夜には雨音が強くなり、部屋の中まで水の音が聴こえる。


あ〜、雨の音っていいな〜。

そんな呑気なことを言いながら眠りにつき

明け方4時半、『いまだ!』と感じ
私はサンダルで外に飛び出しました。

ガスの向こうは、くっきり太郎笈(剣山)

ラ・フォーレつるぎ山から見える御山

雨音が穏やかになり、御山とお約束の瞑想録画
一本目の撮影成功!
録画した御山の近くの雨音は聴いてみると、なんて優しい音なんでしょう!

昨夜、寝る前に御山にコンタクトした時のこと。

今回の登山は雨は必要。雨も楽しみ、撮影すること。
雨は止まない。共に楽しむ。

私達はそのメッセージを疑いもせずに

はい、りょうか〜いです。今回は、雨ですね!
視界が悪いと目も体も疲れるから濃霧は嫌です〜m(._.)m

そんなお気楽なやりとりを済ませた後就寝。
翌朝、奇跡的にガスが晴れ小雨になった時に
撮影成功したのでした。
その後、のんびり2時間ほどストレッチ、水分補給、
ストレッチ。

ひたすら体の感覚に向き合う贅沢な山の時間を過ごしました。
なんて幸せな時間なんだろう。

朝食の後、
再び、半透明のゴミ袋を工作、手作りカッパを完成させました。

『ラ・フォーレつるぎ山』をチェックアウトし
2キロメートル先のリフト乗り場に向かい到着すると、
駐車場には、私の車と
御山仕事の軽トラ、御山仕事の通勤車のみ。

そんなこともお構いないなしに
私と由美さんは手作りカッパを腰に巻き、ガムテープで固定。
リフトに乗る時はザックを前に負うので
必要な物、財布などをポケットに入れ、
装備万端でリフトに乗りました。当然のように。

きっと、側から見たら一体何をする作業員??
そう、カッパ作って山に上がるって、林業系女子ですね。

リフト駅に着いた途端、突風に煽られたので
急いで物陰に入り装備をチェック。

よっしゃ!と最短コースを登りました。
突風のおかげで一気に目の前のガスが晴れ、視界良好!

ありがとう!御山太郎笈、次郎笈。
私たちは法具や法螺貝は持ってませんが、
今回は日光の矢をもってきましたよ〜。必要な時は教えてね〜。

そんなことを呟きながら山頂へと向かいました。
この天候なので
山頂の宿泊客は私と由美さんだけ。誰もいません。
乾燥室に荷物を干して、部屋でに入りストレッチ、ストレッチ数時間。

その後、ふと『今だ!』と感じて外を見たら薄っすら晴れ間。
私は、頂上付近の宝蔵石へといきました。
雨と風は強かったのですが、このまま撮影すると良いと感じたので
5分ほどビデオを撮りました。

5分ほど、風が止みました。


その間は、風は緩み、
鳥達の声、雨の音、緩やかな風の音が聞こえ


雨粒には太陽の光が当たり
まるで空からラメが降っているようでした。
撮影しながら


私はなんと美しい時を味わっているんだろう!
ありがとう、ありがとう、ありがとう、と
呪文のように呟いていました。

あっといまに5分経ち、また一気に突風が吹き荒れはじめました。
慌てて宿に入り、乾燥室で服を干してから部屋でのんびりストレッチ三昧。

誰かに時間を合わせない、
いろんな景色を見にいかないで良い。
無駄な写真も撮らないで良い。

ただ自分の感覚と御山の息吹とを一致するだけ。
そこには『生きる』ことだけを楽しむ世界がある。

大雨のおかげで、宿泊客は誰もいない。
私たちは山頂に引きこもりストレッチ、呼吸、水分補給を
ひたすら楽しむことが許された。

戸の開け閉めも普通に出来たし、忍足歩きもしないで済んだ。

私たちは、大雨のおかげで御山へ癒しの里帰りができた。


窓の外は、鳥たち、龍たち、虫たちの楽園。
芯から癒される、ただ癒される。
御山の雨さん、ありがとう。

【癒しの旅・剣山】2へ続く・・・